ーー ……お前が!



詩月は声のした方に目を向け、相手を確めた瞬間、怒りがこみ上げた。



詩月はランチを乗せたトレイを荒々しくテーブルへ置き、声をかけてきた相手を睨み付けた。



「生徒会長、他言するなと言ったよな」



詩月は声を落として尋ねた。



「さあ、何のことだか……」



「ふざけるな。知らばっくれるなよ。お前しか、噂の出所に心当たりはいないんだよ」



「知らないと言ってる……」



詩月は生徒会長の胸ぐらを掴む。



「黙っていろ、と学長室の前で口止めしたはずだ。
何故、噂を流した? 定かでないことをペラペラと」



「何だ、やはり腱鞘炎だったか?」



詩月の手に力がこもる。



右手で胸ぐらを掴んでいた詩月だが、いつの間にか左手も加わっていた。