「わたしは生徒会長から聞いたんだけど、……けっこうな噂になってるみたい」


……あいつか!




思い浮かんだ顔につい、ポツリ呟く。



「心当たりがあるの?」



『呼び出しをします。音楽科3年生の周桜詩月くん。
至急、学長室に……』



答えようとした詩月の声を掻き消した。

詩月は校内放送に呼び出され、もう学長の耳に入ったのかと、溜め息をついた。




「……クソッ、とんだスピーカーがいたもんだ」



郁子がクスリ声を漏らす。



「大変ね、大丈夫なの?」


「まあな……行ってくる」


詩月は渋々答え、渡り廊下へつながる階段を下り、学長室に向かった。