昨年、4月。
「聖諒学園に編入する」と詩月がリリィに話した時、リリィはひどく寂しそうな顔をした。
高校で指示していたピアノ教師とそりが合わず、レッスンの度に自信喪失した。
厳しい教師だったが、詩月には特に厳しかった。
詩月は、何を弾いても苦言しか言わない教師に、堪忍袋の尾が切れ、レッスン中に、ピアノ教師を平手打ちして自主退学をした。
父親が海外遠征で、成功をおさめるたび詩月の周りは、父親と詩月の演奏を比較し、愛想を振り撒き社交辞令みたいに、コンクールを勧めたが、リリィだけは一貫して、詩月を励まし続けた。
──お父様と比較されるのを恐れていては、貴方は周桜詩月として認めてもらえないわ。
チャンスは自分で掴むものよ──
リリィの教えが、天啓のように詩月の頭の中で響いた。
「聖諒学園に編入する」と詩月がリリィに話した時、リリィはひどく寂しそうな顔をした。
高校で指示していたピアノ教師とそりが合わず、レッスンの度に自信喪失した。
厳しい教師だったが、詩月には特に厳しかった。
詩月は、何を弾いても苦言しか言わない教師に、堪忍袋の尾が切れ、レッスン中に、ピアノ教師を平手打ちして自主退学をした。
父親が海外遠征で、成功をおさめるたび詩月の周りは、父親と詩月の演奏を比較し、愛想を振り撒き社交辞令みたいに、コンクールを勧めたが、リリィだけは一貫して、詩月を励まし続けた。
──お父様と比較されるのを恐れていては、貴方は周桜詩月として認めてもらえないわ。
チャンスは自分で掴むものよ──
リリィの教えが、天啓のように詩月の頭の中で響いた。



