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・・・・・・後のことは、あまりよく覚えていない。


気が付くと先生はもう、教室からいなくなっていた。


『大樹はすごく頑張った』とか。


『葬儀は県外で行われるので、残念だけどみんなは参列できない』とか。


先生はそんな言葉を言っていた気もするけど。


・・・・・・ほとんど記憶にない。



針一本が床に落ちても、音が響きそうな静寂。


重苦しい空気が、教室に伸しかかっている。



クラスの誰も、身動きしない。


全員が自分の席から動こうともしない。


泣いている女子もいた。



―― ガタ・・・・・・



沈黙の中で、あたしの立ち上がる音が響いた。


クラスみんなの視線が集中する。


あたしが特に大樹と親しかったことを、みんな知っているから。


だから。


みんなの視線が、言いようもないほど痛々しかった。



あたしは大勢の視線を背に、教室を出た。


そして廊下を進んでいく。


でもなんだか、平衡感覚が変だった。


自分の存在が、この世界から弾き出されてしまったみたいな感覚。