どんな気持ちで聞いていたろう。


べそべそと泣きながら、いかにも辛そうに訴えるあたしの話を。


黙って聞きながら、あたしを慰め、励ましながら。


たったひとりで、誰にも言えずに・・・・・・


由依は泣いて・・・いたんだろうか・・・・。



「どうしよう・・・・・・・」



知らなかった。全く気付かなかった。


なぜ気付かなかったんだろう?


毎日一緒にいたんだから、気が付いて当然なのに。



『お前は目をつぶって、気付かぬふりで、耳をふさいで、やり過ごそうとしている』



祐輔に言われた言葉が、頭の中によみがえった。


そうだ。あたしはなにも見ようとしなかった。


気付けなかったんじゃない。


気付こうとも、しなかったんだ。



見えるものも、聞こえるものも、あたしは大樹以外の全てを遮断していた。


それで気付けるわけがないじゃないか。



繰り返してしまった。


祐輔にしていた、無神経で残酷な仕打ちを。


あんなにあたしを支え続けてくれた、優しい由依に対しても。



『お前は、自分で気付かなければならない』


そう忠告されながら、遮断して、聞こうとしなかったから。