結局その日、あたしはずっと祐輔からの視線を感じていた。
ふとした拍子に、あたしを見つめる祐輔と目が合う。
その視線の熱さと強さに飲まれて、心臓が痛むほど跳ね上がる。
そして不安に飲まれる様にオロオロと目をそらし続けていた。
だから放課後になって、祐輔が部活に行ってくれた時は心底ホッとした。
これでやっと落ち着ける・・・・・・。
そしてあたしは、誰もいなくなった教室に残って、学級旗を作成し始めた。
最初はこんな面倒なことを押し付けられて、ムカついてたけど。
今となっては、やることがあって逆に助かっている。
今あの中庭に行ったりしたら、よけい心に余裕がなくなりそうな気がする。
ひょっとして祐輔はそれも考えた上で、あたしに仕事を任せたのかな?
なんだかそんな気がした。
旗に絵を下描きしながら、あたしは大きな溜め息を何度もつく。
案の定、あたしが描くと超絶にヘタクソ。
元のデザインとは似ても似つかない。
それもまた、あたしを激しく落ち込ませた。
あれもこれも。悩むことばかり。
落ち込むことばかりだ。
人に見られ続けるのって、こんなに緊張するって知らなかった。
こんなのが毎日続いたら、身が持たないよ。