【陣宮side】


生徒会長が学校へ現れなくなってから随分経ち、その代わり誰も知らない彼女が戻って来た。



以前と変わった部分なんて端から見ればわからないだろう。


だけど確かに感じた、
以前とは違う雰囲気。


纏う空気も、表情も、立ち振る舞いも、
全てが以前の彼女とは違って見えた。

彼女がいなくなってすぐ告げられた
生徒会長の選定。

理事長をどれほど問いただしても知ることのできない、彼女が消えた真実。




それとは別に、
突然消えた紅蓮史上最強の総長。


そのことに彩狼は酷く困惑した。

一時期は誰かに殺られたのではという噂も広まった。


だけどあの人がそう簡単に殺られることはないのが事実で。

引退したという噂が今では一番有力な情報だった。

また紅蓮総長不在により、紅蓮は危機に
見舞われた。

あの総長がいないならとここぞとばかりに攻めて行く卑怯な族。

元々紅蓮は個々が強いことや、強い族と同盟を結んでいるため協力し抑えられていたものの、
かなり厳しい状況だった。








そんな中流れたある噂。



"紅蓮に途轍もなく強い新人が現れた"

"前総長の生まれ変わり"


正直馬鹿な噂だと思った。

あの総長の生まれ変わり?
時期的におかしいし、
そもそも死んで無いだろ。



だけどそいつが紅蓮のピンチを救ったのも確かだった。




生徒会長や紅蓮総長の謎の失踪。


どうしても出てこない真実は、
これが初めてだった。


どんなに会いたいと望んでも、きっと俺の前に現れることはないのだと思う、弱気な自分がいた。


だから彼女が…生徒会長が再び現れた日
本当は信じられなかった。










…彼女を見るまで、
俺は多分浮かれていたんだ。