【楪side】 泣いたら彼に悪いと思うのに、 なぜか涙は止まってくれなかった。 走れば気を紛らわせるし、 涙なんか吹き飛ぶと思ったのに…。 会うべきじゃなかったと、 今更ながら後悔した。 ただ、彼が生きていることを知って ひどく安心したのも確かで。 この涙はきっと 彼に触れられない悔しさと悲しみと、 彼が無事だったという安心だ。 たとえもう二度と、 会うことがないとしてもーー。