しばらく公園で休ませてもらったおかげで、私の気持ちもだいぶ落ち着いてきた!




「ありがと、准平くん。准平くんの応急処置で痛みが少しひいてきたみたい!もう大丈夫だよ。」


他にもかすり傷がところどころあるけど、大きな怪我は無かった。


「ホントに!?ピュア子ちゃん無理してねぇか!?」


「本当に大丈夫だって!准平くんって心配性なんだね。」


「だって!女の子はやっぱし男と比べたら、か弱いからサ!!無理すんなよッ!??」


「ふふ。ありがと!でも私、准平くんが思ってるより頑丈なんだよ?」



と、立ち上がって捻った足首をまわしてみせた!



「ちょッ!!またくじいちまうぞ!?」


「大丈夫っ!!ほら!平気でしょ?」


「……意外とピュア子ちゃんってガンコなんだな。理人さんに似て。」


「え?何??」


「あ、べつに!なんでもない!!」


さてと、これはバイトに直行しないと遅刻しちゃうな!


「准平くん、私そろそろ……」


「…………。」


「准平くん?どうかしたの?」


准平くんは急に黙り込んで、そして真剣な顔で私に告げてきた。



「ピュア子ちゃん。今日のこと、理人さんに言った方がいいよ。」




え…………。





「な、なんで!?霧島くんには関係ないことでしょ!?」


「………そうでもないよ。ピュア子ちゃんを階段から突き飛ばしたヤツ……、理人さんのオッカケだから。」





ドクン






まさか……!





まさかとは思うけど………!!





「ささ…はら……さん……。」


「え!!!ピュア子ちゃん気づいてたのっ!!??」




やっぱり!!!




私が落ちた時、准平くんは “里菜” と呟いていた……。



だからもしかしてとは思って言ってみたけど、本当にそうだったなんて………!!



これで、ハッキリした!



私に嫌がらせをしていたのは、笹原さんなんだってことが!



「ピュア子ちゃん!俺から理人さんに言うよ!言うべきだ!!」



え!!!


准平くん!?



「ピュア子ちゃんが傷ついてんのに、それを理人さんが知らないでイイわけがねぇよ!!俺、いまから理人さんに連絡…」


「だ、駄目!!!やめて!!!」


准平くんが携帯を取り出したので、私は咄嗟にそれを制する!



「なんでだよ!!?ヘタしたらピュア子ちゃん、大怪我してたんダゾ!!!どうして理人さんに言わねんだよ!!?おかしいだろ!!」


「駄目だよ!!霧島くんにはこの事はふせといて!!お願いッ!!!今回のことは私の不注意で怪我したことにしておいて!?ね!?お願いしますっっ!!!!」



そう言って私は准平くんに思いっきり頭を下げた!



だって……!




そんなことできないよ……!!



霧島くんに、また、あんな顔をさせるなんて!!!




あんな……………、





辛そうな………。






『お前らの、そうやって卑怯なテを使って人を平気で傷つけるのは、マジで我慢ならねぇ時がある!!』


『そうやって卑怯なことはすんなよ!!!』


『“俺のため”とか …………、っんなコトされても全然嬉しくねぇんだよ!!!!それくらいわかれよ!!!』


『あんな脅しみたいマネして、結果的に咲希を護れたことになってねぇーんじゃねぇかって……。』





「っ!!」





できない!!



そんなこと、私がさせないよ!



「ピュア子ちゃん……。」


「お願いします!!今回は知らないふりをして下さい………!!!」


「…………。」



駄目かな!?



私の願い、きいてもらえないのかな!?





しばらくの沈黙の後、


「わかったよ……。でも、今回だけだよ?」




!!!




「うん!ありがと!!准平くん!」



よかった……。



これで少し安心したな。



ホッと胸をなでおろしていると、准平くんが明るく言ってきた!


「でも!またなんかあったら、絶対俺たちに言うんだぞ?ピュア子ちゃんは、理人さんの大事な人なんだからさ!」


「え…………?」


「あ、ヤベ!!……いや、その、あの、だから〜………大事なダチ!ってコト!」





チクン





「う、うん!そうだね!じゃあ私、もう行くね?准平くん、ありがとう!気をつけてね!」


そして私は公園を出て、ひたすら道を歩いた。





足……思ったほど酷くなってないな。


でも痛いところは足首だけじゃなかった……。



心に針が刺さったような、そんな痛みがあったからだ。









場所は変わって、高校の屋上ーー



そこには一人、寝そべっているヤスがいた。


そこへ電話がかかってきた。



すぐにその携帯を取る!


「准平か?鳴瀬さんは無事だったか?!………………………そうか。やっぱりな……。」





ガチャ。





屋上の扉があいた。






「あぁ………。理人には言わねぇほうがいい。アイツの性格上、言ったら何をしでかすか、わからな……」







「俺がなんだって?」






「っ!!!理人!!お前、今日バイトじゃ………、」





「おい。今話してたこと、全部俺に教えろ。」