ドサッ!!!






「痛ッ……!!」




「大丈夫かっ!!?」






誰かの声が聞こえてくる。






「ピュア子ちゃん!!!平気か!!?返事してくれよ!!」





准平……くん………?





准平くんが凄く焦った顔をして、私に問いかけてくる!!



「意識あるか!?俺の声聞こえてるか!?」


「じゅんぺー…くん……」



すると、准平くんの強張った顔がようやく解け、


はああぁぁと大きく息をついた。




どうやら私は准平くんに、地面に身体を打ちつけるすんでのところで抱きとめられたみたい……!


私は落ちた反動ですぐには反応できなくて、しばらく准平くんに体を預けていた。



すると准平くんは私を支えながら、目を丸くしていた!



「アレって…………里菜……?」




え?





准平くんが信じられないという顔で、
私が足を踏み外した方を見上げていた…。



「ウソだろ……?!じゃあ、ヤスさんがさっき言ってたこと…って………本当に……………!??」



准平くんは動揺を隠しきれないみたいで、言葉を失っている!


でも私の状態を見て全てを悟ったのか、
准平くんの眼つきが急に変わった!!



「きたねぇマネしやがって………。許せねぇ!!」




!!?




もう一度見上げた准平くんの顔は、鋭い眼光を放ち、
見てるこっちが凍りつくような冷たい色をしていた……!!



准平くんのこんな顔、見たことない……。



やっぱり准平くんも不良の……


霧島くんの仲間なんだなと、改めて思い知らされた。







近くの公園へ向かった私達はベンチを見つけると、准平くんが気を利かせてくれて、鞄を枕替わりに!と用意してくれる。



「大丈夫だよ。そんなたいした傷でもないから。」


「で、でも!ピュア子ちゃん、あの高さから落ちたんだぜ?!!たいしたことなんかねぇって!!!それにピュア子ちゃんに何かあったら俺、理人さんに顔向けできねぇーよ…!!」



あ…、そっか。



そうだよね。



准平くんの立場もあるよね!



気がつかなかったな。



「わかった。じゃあ借りてもいい?」


「あ!待った!!いまバッグにタオルかけるから!!あ!タオルはちゃんと洗濯してあるから、ピュア子ちゃん安心してくれよな!?」


「ふふ。ありがと。」


お言葉に甘えて少しの間だけ、横になることに。


准平くんはベンチには腰をかけず、私のひねった右足首を診てくれている。


「一応、さっきコンビニで買った湿布と包帯しとくな!?痛かったら言ってくれよな!?」


「うん。わかった。」


准平くんが慣れない手つきで一生懸命手当てをしてくれている。



よかった…。



准平くんがいてくれて……。



准平くんがいなかったら、今頃私はどうなっていたことか……。



考えただけでも恐ろしくて、なんだか急に怖くなってきた……!!


「ピュア子ちゃん!?どうした!!?顔色がよくねぇぞっ!?具合悪いのかっ!!?」


「う、ううん…。ちょっと。」



どうしよ!!


震えてきちゃった…!!


考えないように意識すればするほど、さっきの落ちていく光景が蘇ってくる!!



すると、准平くんが優しい手つきで私の頭を遠慮がちに撫でてきた!



「怖かったよな……。あの高さから落ちたんだ。ムリもねぇって!」


「准平くん…。ありがとう。」


「俺、やっぱ情けねぇな………。ヤスさんに言われなきゃ気づかなかったなんてさ………。」



え……?




「ヤスさんに言われたって?」


「え?ピュア子ちゃん、もしかしてヤスさんと知り合い?!」


「えっと、前に私の友達も含めて話したことがあって…。それと今日も帰り際に立ち話したくらいかな…?」


「そうだったんだ……。ホント俺情けねぇ…。」



え!?


准平くんが落ち込んでる!!



「クソッ!もっと早くピュア子ちゃんのもとへ駆けつけられたら、こんな怖い思いさせなくて済んだのに……!!」



准平くん……。




そんなことないのに。



「俺、チカラ弱いからさ、マジなハナシ。ケンカもあんま強くねぇーんダ…。だからいつも理人さんに頼ってばっかでさ…。俺にもっとチカラがあればよかったんだけどな……。」


「そんな…!准平くん、そんなことないよ!だってさっき私を助けてくれたでしょ?それに今もこうして手当てしてくれてる。人を守るのに 全て“力” がある人間とは限らないんじゃない? “強さ” って、私はもっと別のところにあると思う!」


「ピュア子ちゃん……。」


「大丈夫!准平くんのおかげで私、ちょっと恐怖が薄れたよ!これも人を守る一つのやり方じゃない?ね!だから、いつもおちゃらけて笑ってる准平くんでいいんだよ?」


「…………ヤベェな。くやしいゎ。」



え!?



今度は悔しいの!!?



「理人さんは、俺よりもダンゼンはやく、そういうトコロに気がついてたんだな………。完全に俺の負けだな!!ウン、負けだぁーーー!!!完敗だぁーーーー」





???





よくわからないけど、なんか元気になったみたい……?



准平くんの一人劇場で、少し寂しかった公園は色づき、私の心も軽くなっていった。