そんなこんなで数週間がすぎ、


気がつけば中間テストの結果が廊下に貼り出されていた。




「あ!咲希すごい!!3位ジャン!!」


ちーちゃんが私を呼び、名前があるところに指差した!


「あ、ほんとだ!!今回バイトとの両立でキツかったから、ほとんど寝不足だったけど……よ、よかった……。」


「やったじゃん!頑張った!咲希!!」


ちーちゃんがハイタッチをしてくれた!


自分のことのように喜んでくれるちーちゃんの存在に、有難さが込み上げてくる……!


「ちーちゃんも12位じゃない!点数も上位の人達と差がないし、大健闘だよ!!」


「いやいや、咲希先生の教え方がよかったと思われますぞ?」


放課後は、ちーちゃんが部活。


私はバイト。


そのため、一緒に勉強する時間なんてなかったけど、
授業の自習時間にお互いの苦手な教科を教えあってスキルアップを計った。



「自習時間の効果があらわれたよね!よかった~。」


テスト結果の貼り出しは、50位まで名前が挙げられていた。


ちなみに唯ちゃんも、17位のところに名前があった!



それからざっと見ていくと……。




21位 霧島理人






「え!?すごい!!上位に霧島くんの名前がある!!授業めっちゃサボってるって評判なのにっ!!」


ちーちゃんが驚きを隠せないでいる!


それは私も同感だった。


「確かに……。授業出ないでこの点数を取るなんて…!」



私も唖然とした…。



どうすればこんないい点数が取れるのだろうか?


もしかしてお家で必死に勉強してるとか…??


私の霧島くんに対する謎は深っていった。






そして次の時間は移動教室!


ちーちゃんと唯ちゃん、私の3人で視聴覚室へと向かおうとしていた。



すると。



「霧島くん、中間テストの発表みたよ!上位、おめでとう!」


「スポーツは知ってたけど、勉強もできるなんて、霧島くんって本当にすごいんだね!」



ん?



準備ができたので廊下に出て、二人を待っているとそんな声が聞こえてきた。


振り向くと、隣の6組のクラスの前で、霧島くんと2人の女の子が話をしていた。


「べつに。そんな凄いことじゃねーと思うけど。」



うっ。




つ、冷たい。



ちょっと素っ気ないんじゃ…。



心の中でヒヤヒヤしている私。


女の子たちも少し困っているような感じ…。


「あ、あのね!よ、良ければなんだけど。……期末のとき、私たちに勉強教えてもらえないかな?」


「あの!霧島くん、英語100点とったって聞いて……。だから、ちょっとだけでも教えてほしいな!って。」


女の子たちは必死にお願いしている。



そうなんだ、霧島くん英語100………………え!!!



霧島くんって英語満点なの!!?




満点とる人いたんだ!!



す、凄すぎる……。



英語範囲すごく広かったのに!



なんで!?



ということは….、


やっぱり影で努力してるんだろうか!?



なんか、不良なのに偉いな~!


しみじみと私はそう思って、霧島くんを見た。



「俺、教えんのヘタだから。悪ぃな。」



あらら。


駄目なんだ。


断わられてしまった女の子たちは諦めたのか、俯いてクラスに入ってしまった。


霧島くんも言ったが早いかで、歩きだしてしまった…。




とその時!!




「あー!!俺のピュア子ちゃーーーん!!!」


ビク!と肩がはねた!



こ、この声は……。



よく見ると、霧島くんより向こうのほうに、准平くんが見えた!


こ、これは、


かなり、


マズイ!!



また抱きつかれる!!!


思わず後ずさりしてしまう……。



霧島くんも、ハッとした様子で振り返り、後ろにいた私に気付いた!!



「ピュア子ちゃ~~~~ん!!!」



ひえぇ!!



こっちに来る!!!



勢いよくこちらに向かって両手を広げて走ってくる准平くん!



っていうか意外と足速いっ!!!



万事休すっ!!




……と思ったら。




霧島くんが、追い越した准平くんの首根っこを掴んだ!!


「じゅ・ん・ぺ・い!?何やろうとしてんダ!?アァ”!?」


霧島くんの眉間に深いシワがよる!



ひぃー!!


般若だよっ!!



「ちょっと理人さん!!とめんなよなー!俺の愛のハグをさせてくれって~。」


「ハグ…だと?」


霧島くんの片眉がピクッと上がった…!


「ピュア子ちゃーん!俺のこと覚えてる~!?准平だよー♪」



「は、はあ…。」


はい!とは言えず、ついなんとなく返事をしてしまった。


……ところで。



准平くん、気づいてるのかな…。



あの……。



霧島くん……。



額に青筋が浮き出てるみたいなんですけど……!?



その迫力に足が震えてきてしまう!!


殴り合いの喧嘩とかにならなければいいんだけど……!!


そんなことを祈っていると。



「…准平お前、そういえば中間、赤点たまってたよな?俺がみっちりと教えてやるよ…来い!!」


「え!?なんでそうなんのっ!!?つーか勉強だけはマジ勘弁!!!ちょっ、ピュア子ちゃんに触らせてってば!!~~っ理人さんの横暴ーーー!!」


准平くんは霧島くんに引きずられるように、その場をあとにしたのだった…。



な、何はともあれ、助かった…!!


ホッと息をつく。


やっぱり霧島くんを見ると怖くて仕方ないんだけど、

今のはお礼を言いたいな。



本人には自覚はないんだろうけど、


霧島くん、ありがとう。




そこへちーちゃんと唯ちゃんが廊下へ出てきた!


「お待たせ咲希!行こうか!」


「うん!」



そこでふと思った。



あれ?



さっき霧島くん……女の子には勉強教えるの下手だからって、断わってたよね?


でも准平くんには教えるって…。なんか矛盾してない?


思わず首を傾げてしまった。