さくらの花が咲く頃に

え、ちょっと…

犬と目が合う。

犬は、私に向かって歩いてるようだった。

どうしたの?怒っているのよね?

魔法で、話せばいいかな。

軽い気持ちで私は小声で呪文を唱える。

『言の葉の精よ、我らに言葉を……』

さあ、これで会話を!

〈あなた、どうしたの?なぜ怒っているの?〉

『グルルルル…』

あ、あれ!?

通じない?

〈私の声が聞こえる!?〉

『グルルルル…』

通じてない!!

魔法をかけてる間にも、犬は私に近づいている。

言葉が通じない生き物だなんて!

急に、その犬が怖くなる。

『そこの女の子!早く逃げて!』

私に言われてるのはわかるけど……

どうしよう、怖くて足が動かない。

『グルルルル…』

なんでなんで!?

私が何かしたというの!?

どうしてそんなに怒っているのよう!!

『ガウッ!』

『いやあああっ』

しゃがみこんだ瞬間、誰かが飛んできて、私の手を引っ張って走った。

『こっち!』

公園の外まで出ると、その人は私の手を離した。