そういえば、彩羽のこんな安らかな寝顔初めてだな・・・・・
基本寝ることはなかったが、偶に転寝した時も魘されてばかりだった。
悪夢を見て居たのかとばかり思っていたが、もしかしたら違ったのかもしれない。
「ん・・・・・」
ゆっくりと瞼を上げる行動がとてもスローに見えた。
「おはよう、彩羽」
「せん、ぱい・・・・?」
月明かりが俺達2人を照らす。
まるでこの世界に2人しかいないと言わんばかりだ。
本当に2人きりならどれ程よかっただろうか。
婚約者のことも問題なく傍に居られただろう。
けどそれでは、彩羽を助けられない。
俺には持病を抱えている彩羽を助ける術を知らないし、力もない。


