「兎に角今日は帰れ」
「もう少し。せめて彩羽が目を覚ますまで居させて」
「せめて、って・・・・・。医者の俺でも何時目覚めるか分からないんだぞ?」
「それでも、もう少し一緒に居たいんだ」
中々OKを出してくれない兄貴。
やっぱりダメなのか?
俺と彩羽は結ばれないのか?
ここで諦めなきゃいけないのか?
「お願いします」
兄貴に向かって頭を下げることなんて初めての経験だ。
何に対しても先に遣り遂げる兄貴がコンプレックスであって、反抗した時もあった。
そんな兄貴に従ったり頼むことは絶対したくなかった。
だが、今回はそんなことばかり言ってられない。
今彩羽と一緒に居れるなら何でもしてやる。
「・・・・・分かった。でも、次ナースコールが鳴ったらお前はこの部屋立ち入り禁止だからな。これは医者としての判断だ」
「ありがとう」


