命が続く限り




試着して鏡の前で立ちすくむ。



胸の間から手術の線が半分見えている。



忘れてた。



最近は、普通な生活に慣れ過ぎていた。



これじゃあ、水着は愚か、エッチもできない。



「彩羽?もう着れた?」

「え、あ、はい」



突然の質問に思わず返事をしてしまった。



「じゃあ開けるよ?」


「あ、ダメです!」



返事が遅く、碧琉君の顔だけが入ってきた。



咄嗟に手術の後を両手で隠した。



他にも隠さないといけないところはあるはずなのに、そこしか頭になかった。