命が続く限り




体育館に入ると、私は結構浮いていた。



皆使い込まれている体操服。



男子に限ってはボロボロな人もいた。



部活でも使い込まれているのだろう。


新品同様なのは私だけだった。


『彩羽が体操服きてるの新鮮だね』



先程言われた台詞を思い出す。



そりゃそうだろう。



体育祭ですら着てないのだから。



私が覚えてるのは1年生の時の宿泊研修。



ただ1度のみだった。



あの時の私はあれが最初で最後だと思っていた。
「じゃあ出席順にチーム組んで」



先生の指示で慣れたようにチームを組んでいく。



「東さん」

「はい?」



先生に言われて近くまで移動する。



「今日、本当に体育していいの?なんだったら見学でもいいのよ?」



私が倒れたら怖いのか。



それとも純粋に心配してくれてるのか。



よく分からないが、皆に聞こえない声量で問われた。



「………………大丈夫!」



先生の心配はどっちか分からない。



怖がられてるのかもしれない。



けど、嬉しかったから。



体育に出られるってことが凄く嬉しかったから。



自然と笑顔になっちゃったんだ。