「よーい!」
ピーーー
クラスの子と並び、笛と共に同時に走り出す。
「ハァハァ………………」
全力で走ると半分で息がすでに上がっている。
隣の子はゴール目前だというのに、私はまだ半分しか走れていない。
「東さん14秒ジャスト」
この歳で50mを14秒で走る子など居ないだろう。
それでも初めて走りきった私は、満足していた。
発作みたいに息が切れてまで走った。
同じ息が切れるでも、凄く気持ちがいい。
呼吸はしにくいけれど、とても楽だ。
「東さん大丈夫?」
一緒に走った子が軽く息を切らして声をかけてくれた。
「大丈夫、ずっと体育サボってたから自業自得だね」
心配をかけないように笑って誤魔化した。
こんなに息が苦しくても笑えるなんて思ってもみなかった。


