「えーと……、どこから聞きたい?」
「最初からです」
いや、結末だけならさっき聞きました。
「出会ったのは彩羽ちゃんが入院してた病院のベンチ。彩羽ちゃんのお見舞いに行ったときすれ違いで出てきてたの覚えててさ、声かけたんだよね」
女の子に声かけるのはきっと拓海先輩にとって呼吸するのと同じくらい自然なことですもんね。
「そしたら、さ………………」
馴れ初めを一人で喋っていた拓海先輩が言葉をつまらせた。
「私が、泣いてたんだ」
あ________
病院の外で泣いてたなら、私のせいだよね………………
「彩羽、凄く辛いはずなのに私の話にちゃんと応えてくれて。ちゃんと会話が出来るのに、余命半年なんて信じられなくて。それに私、皆が手術受けるから大丈夫なんて言うけど信じられなくて…………。そんなこと思いながら歩いてたら先生と彩羽のご両親の話立ち聞きしちゃって」
「何聞いたの?」
目が潤んでる夏那の瞳から離さず問いかけた。
「手術、難しい。って」
聞いちゃったんだ、夏那………………
「その後彩羽に会って、力なくだけど笑ってる彩羽見て我慢できなくて」
それで泣いてたんだ………………


