一瞬だったけど
触れただけだったけど
碧琉先輩は私の我儘に応えてくれた。
「ヒューヒュー」
「お熱いね~」
お姉さんの冷やかしに耐えながらも、碧琉先輩と目線を合わせる。
「先輩、恥ずかしいです」
顔を真っ赤にして先輩に訴える。
「ククッ、彩羽がしてっておねだりしたんじゃん」
言動が合っていない私を笑っている。
「もう1回してあげようか?」
これが大人な対応というのだろうか。
完全にからかわれている。
「暑い暑い」
「真冬に近づいてきてるのにね」
手でパタパタと仰いでいるお姉さん達。
「じゃ、写真皆に送っとくから誰かからもらってね~」
携帯をヒラヒラと振りながら教室から出ていってしまった。
「他人にばら撒くなよ・・・・・・」
お姉さんが撮った写真は30分で学校中に広まったことは言うまででもない。


