「碧琉、俺先に帰るわ。話、あるだろ?」
「あ、あぁ。サンキュ」
拓海先輩の姿が消えると、そっと抱きしめられた。
「どうしたんですか?先輩」
「ん、なんでもない。ちょっとだけこのままで」
無意識なのだろうか、少し力が強くなった。
私の体が冷えてるからかな。
私が眠ってた時と重なってるのかな・・・・・・
先輩には悪いことをしたな。
ちゃんとそう思ってるけど、こんなにも心配をかけてるってちゃんと分かってるけど
なんだか少し嬉しかったりもする。
生きててよかった。
その想いと一緒に、碧琉先輩を安心させるという意味も込めて背中にそっと手を回した。
「大丈夫ですよ。私さっきまで保健室にいたんです。でも待ちきれなくてさっきここに来たばかりですから」
「何分ここで待った?」
「そんなに待ってませんよ」
「何分?」
「・・・・・・・・30分くらい?」
「バカ・・・・・・」
先輩の尋問に負けてしまった。
バカでいいです。
先輩の為ならバカでもなんでもいいです。


