18時30分を回ったのにも関わらず、保健室から見える碧琉先輩の教室から電気が消える事はなかった。



もしかして既に帰ってしまったのか。



不安になった私は先生にもう帰ると伝えて昇降口まで急いだ。



先輩がまだ学校にいることを確認すると安堵が出た。



どうせ直ぐ降りて来るだろうと思い、ここで待つことにした。



「でも紘輝に憧れてたとはね~」

「だからもう忘れて」



30分くらい待った時に聞えて来た碧琉先輩達の声。



「碧琉先輩っ♪」



1日ずっと碧琉先輩のことを考えていたので凄く嬉しかった。



「彩羽!?いつから待ってたんだよ!!」



そんなこと言えなかった。



言ってしまったら今後先輩は私の為に放課後は絶対に予定を入れないだろう。



ただの邪魔者になってしまうだろうと直感で思った。



「今日は遅くなるから先に帰ってろって言ったじゃん」



困った顔をしながら先輩の手が私の頬を包み込んだ。



あったかい、そう口から漏らしながら先輩の手ごと自分の手で包み込んだ。



冷えた体が温まる。