碧琉先輩のドッキリに成功した私は、教室で授業を受けた。



他の子にとっては普通のことだが、私にとっては黒板の字を写すことも先生の話を聞くこともクラスの子と他愛無い話をすることも全てが奇跡だった。



本来ならここにはもう居なかった。



私が手術をするように説得してくれた碧琉先輩や、手術代を払ってくれた両親、手術を成功させてくれた紘輝先生。



退学届けではなく、休学届を出してくれたことを含め、皆には感謝しなくてはいけない。



私が戻ってきても不思議がらない生徒たちには“貧血”と言ってくれてあったらしい。



貧血が数ヶ月も続くのも私だったら疑問に思ってしまうだろう。



午後の授業は、始まりが体育だったということもありずっと保健室にいた。



流石に紘輝先生も体育の出席だけは許してくれなかった。



もうちょっとの我慢らしい。



そう考えたら無理して先延ばしになるのも嫌だったし、久しぶりの学校で疲れたってのもあった。



常連だった私が来たもんだから先生は慌てていた。



私がケロッとした顔で手を振ると安心して招き入れてくれた。







先輩には今日は早く帰れと言われている。


何やら居残りがあるらしい。


折角登校してきたのに下校も別々なんて嫌だった。


我儘と言われるだおるが、生きていないと出来なかったことだ。


どうしても譲りたくはなかった。