彩羽の息が続かなくなって我に返り、昇降口を後にした。
「先輩、話ってなんですか?」
話・・・・・・?
あぁ、拓海が言ってたやつか。
「俺、進路決めた」
「へ・・・・・・?」
間抜けな声と間抜けな顔にこっちまで気が抜けてしまう。
「話ってそのことですか?」
「他になんかあるの?」
「ないですけど・・・・・・」
けどなんだろうか。
「で、進学ですよね?」
「なんで知ってんの?」
「だって先輩から先生になるんでしょ?」
「え、どうしてそれを・・・・・・?」
俺、そんなこと言ってねぇよ?
「やっぱり」
ふふふっ、と笑ってる彩羽とは対照的に俺の頭の上にはクエッションマークでいっぱいだ。
「だって先輩分かりやすいんですもの。紘輝先生が私の診察してるときずっと見てるんですもん、私のことじゃなくて先生の手元をずっと。興味があるのかなって」
はぁ~・・・・・
ほんと、彩羽には敵わないな。


