「お前、なんのために手術受けたんだよ」
「・・・・・・・」
「目覚まさなゃ意味ないだろ?」
目が覚めるのを皆待ってるんだから。
「んっ・・・・・・・」
「彩羽!?」
「・・・・・・・・・・先、輩?」
久しぶりに聞いた彩羽の声はカスカスだった。
「先輩、泣いてるんですか?」
「うっさい、泣いてない」
説得力のない俺を見て力なく微笑んだ。
「先輩、私のこと呼んでくれてましたよね?」
「うん・・・・・・」
ずっとずっと呼んでた。
「聞こえてましたよ」
「うん・・・・・・」
「先輩、約束覚えてますか?」
「約束?」
「ほら、手術する前の」
あぁ・・・・・・
涙を拭い、彩羽の顔を覗き込んだ。
「おかえり」
「ただいま」
重なった唇があたたかかった。
彩羽が生きている、そう思うとまた涙が出てきた。


