命が続く限り




翌日も彩羽は目を覚ますことはなかった。



彩羽が目を覚まさない日々が2日続く中、病室に兄貴と3人になったタイミングがあった。



「彩羽、顔色大分よくなってるよな・・・・・・」



素人目の俺からにはよくなっていると思うが、医者の目から見たら違うのかもしれない。



そう考えるようになってから不安で仕方なかった。



「なってるよ。まだ青いって言う人もいるかもしれないけど、唇が赤い」


「うん」



機械が動いている間は彩羽の心臓が動いているのは分かっている。



でも、機械が動いているよりも



医者が、兄貴が“いい”と言っただけで少し不安がとれた。



「彩羽ちゃんが苦しんだ時間は長いんだ。1週間くらい目を覚まさなくても休憩だと思って気長に待っててやれ」



なんかカッコイイ台詞だけ残して出て行ってしまった。



そっか、俺は知らないけど彩羽は長い間苦しかったよな。



動き回りたくても激しい運動が出来ないから体育にも体育祭にも参加出来ず、どんな気持ちで過ごしてきたのだろうか。



行きたい学校も見送らなくてはいけなくて。



自分はいなくなるからと友達は作らず。



そんな中でも出来た友達に拒絶しなくてはいけなくて。



俺が知っているだけでもこんなにもあるのに



彩羽はどれくらいの苦しみと戦い殺してきたのか俺には考えても想像つかない。