「碧琉くん、いらっしゃい」
「お邪魔します」
ソファーでゆっくりと寛いでいる彩羽のお父さん。
「もうすぐご飯できるから座って待っていてちょうだい」
「はい」
お父さんが座っている隣のソファーに腰を下ろした。
「そう緊張しないでくれ」
ハハッと笑っているお父さん。
いや、無理ですって。
と思いながらもハハッと笑い返す。
「碧琉くんは、進学かい?就職かい?」
「就職です」
「ほ~、どこに就職するんだい?」
「あなた、野暮ってやつですよ」
「あ、そんなことないです。俺、いえ、僕はまだ決まってないんです」
あぁ、そういえば今日進路について考えなきゃいけないんだった。
「そうか、何かやりたいことは?」
「特にないですね。とりあえずお金が稼げる所に就職でもしようかなって」
「そんなにお金が必要なのかい?」
あれ、これは試されている?


