「ちょい待って、土井ちゃん。俺は何があっても就職する」
「どうしてだ?」
「それは・・・・」
俺は彩羽の手術代を稼がなくちゃいけないんだ。
進学している場合なんかじゃない。
だがそんなこと言えるわけがない。
「俺、金が必要なんだ」
「就職をしないといけない程家庭は困ってるのか?」
「いや、違うけど・・・・・・」
「じゃあ何かやりたいことがあるのか?」
「やりたいって言うか、しなくちゃいけないこと」
「それは?」
「・・・・・・」
「まぁいい、今夜一晩やる。よく考えとけ」
「それは進学か就職か?」
「それもだがやりたいことや夢もだ」
夢・・・・・・・
「お前ら夢をバカにするなよ。夢をいくつになっても持っていても恥じることはないんだ」
なんの恥じらいもなく言い放つ土井ちゃんは堂々としてかっこよかった。
「寒い、土井ちゃん」
「そういうなら土井ちゃんの夢教えてよ」
「うるさい。あ、お前ら明日も居残りな」
「「えー」」
「これやるからちゃんと考えてこいよ。学校の資料や残っている就職先の一覧表が入っている」
受け取り中をペラペラとめくり鞄にしまった。