「ふ~・・・・・」
「緊張する?」
「当たり前ですよ」
今まで死ぬことなんてそれが運命と受け入れてきたのに生きることを考えたらこんなことで立ち止まっていられない。
「彩羽、元気になったら家族で出かけよう」
「旅行とかもいいわよね」
「うん、お父さん、お母さん」
「彩羽、退院したらまた遊ぼうね」
「そうだね、夏那」
「彩羽・・・・・」
「碧琉先輩・・・・・」
「キスしてください」
「目が覚めたときな」
「じゃ、俺が」
「拓海先輩はいいです」
私の即答に笑いが沸き起こった。
またこうやって笑いたい。
皆と一緒に笑いたい。
「行ってきます」
「「いってらっしゃい」」
手術室へ運び込まれると、紘輝先生が待っていた。
「怖い?」
「そうですね、死ぬと思ったらとても怖いです」
「大丈夫。俺を信じて」
「はい、信じます」
大丈夫。
だって碧琉先輩があんなに信じてる人だもの。


