“本当は生きたいんじゃないのか?”



そう言い掛けて飲み込んだ。



またさっきみたいになってしまっては困る。



それに、彩羽の本音を聞いてしまっては簡単には口に出来ない。



俺が軽々しく言うのには荷が重すぎる。



『父が過労で倒れるまで働いてくれてるんです。私が受けないって言ってるのに、父は働くんです。私の手術代を稼ぐためだけに』



「先輩、今日はもう疲れました」



月に視線を移した彩羽は今にでも眠ってしまいそうだった。




「明日も来るから」



明日も来る。



毎日来るから。



未来を見失わないでくれ_____