何も言えなかった。理一さんから見れば、色々考えている俺のことが判るから、俺が多くの言い訳を作っていることが判っている。
一歩間違えれば虐められる。今は虐められる可能性は低い安全地帯にいるが、何が切っ掛けで転落するかは判らない。だから悪目立ちはしたくない。
「誰から何を言われても、自分が納得しなければ心には響かない。心に響くのは言って欲しい言葉だけ、自分が行きたい所に後押しする言葉だけ。その他の道を指し示す言葉は全く響かない。――そうだろ?」
「……はい」
的を射た発言ばかりで、肯定しか出来ない。
答えは既に出ている。なのに敢えて人に訊くのは、それを肯定してほしいから。言葉に出されると、その行為は身勝手なものでしかないが、絶対に自分はそうしてしまう。
「まあ色々言ったけど、俺が知らないってだけでこれから何が起こるか判らないから。だから、期待しても丸っきり無駄ってことはないだろうが――」
「大丈夫です。諦めて……ませんけど、期待しなくなるってことでも、ないんですけど……判りました」
俺の身には何も起こらない。それはきっと、昨日までと変わらないのだろう。



