どうして謝るのかは判らなかった。心を読める訳じゃないし、国語の成績も今一つ。そんな俺では理一さんの心の内はまるで理解出来ない。
けれども、俺はこれ以上考えるのを止めた。暗い気分でいるのは嫌だし、何より、せっかくそう言ってくれたんだ。だったらこれ以上、悩んでもどうにもならない。悩んでいる俺に能力が与えられる訳でもないんだから。
気持ちを切り換えるために、一つ深呼吸をした。
「……理一さんの友人って、どんな人ですか?」
全く違う話を始めた俺に驚くことはなく、理一さんは淡々と答えた。
「どんな……か……。――面白いことが好きって言った奴は、多数派に属するように生きている。面白いことが好きって言ってるのもそれだ。正直者であるべきだからってことでキツイ物言いもするけど。まあ、悪い奴じゃない」
その人は、一見普通に思えるけれども妙にずれているようだ。
「一人は、父親が犯罪者だってことで苦労してる奴。苦労してるけど、それ以上に周りを見下してるけどな」
その人は、境遇を乗り越えられる強さをもっているようだ。
「もう一人は、過去に何もなかったはずなのに、何故か人に殺意を抱いている。――言っとくが、そいつは誰も殺してない。あと、中二病じゃない。あの殺意は本物だ」
その人は、物語の主人公になれそうな人のようだ。



