けれども何も、始まらない


理一さんに断言された。俺は普通でしかいられないと。


否定出来ない。人と違う、特別な存在に、特別なものが欲しいと希望していても、俺の在り方が変わる訳ではないだろう。人を従えるような、もしくは称賛されるような力がない限りは。


だから、俺は普通でいたい。


休み時間は読書をするか顔を伏せて過ごしたり、グループ分けの時にはどこかの班に入れてもらったり、教室移動は一人で行ったり。そうなることで、惨めな奴だと思われたくない。そうなることで、周りからは惨めな奴だと思われると思っている。


特別が欲しい。けれども普通でいたい。どちらも捨てきれない――いや、普通でいたいという思いが強い。そんな俺がどうやって……


「悪い。そこまで悩むとは思わなかった」


「え……?」


「いや、俺としては軽い気持ちで言ったんだけど……。相手の考えは判るけど、こう言ったら、こうしたら相手はどう考えるとかはあまり考えないから――国語と道徳の授業以外は。判るのにわざわざそこまで考えなきゃいけないのかって思うから。――だから、悪い」