思わず振り払いそうになった時、鞄の中のスマホが鳴りだした。
これは着信音だ。
「あ……ごめん。ちょっと電話出てくるね」
そっと鹿島くんの手から抜けだして立ち上がる。
鹿島くんの顔は見ずに、出口の方へ駆け足で向かった。
「もしもし?」
外に出てすぐ、相手も確認しないで電話に出ると、
地を這うように低い声が聞こえてきた。
『綾。お前いまどこにいるんだ』
「し、忍くん……」
相手がわかって背筋がピンと伸びた。
それでようやく、日が沈んでいたことに気付いてハッとする。
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