「大学……? ああ、なんだ。忍(しのぶ)くんかぁ」
従兄の忍くん。
明修大でバスケをしている、大人っぽくて優しい、私の初恋の人。
確かに大好きだったけど、いつの話をしてるんだか。
「忍くんも綾に会うの楽しみにしてたから、早く帰ってきなさいね」
「ん……出来るだけね」
忍くんか……。
正直、気が進まない。
忍くんのことは好きだけど、でもきっと、説教されると思うから。
こんなタイミングで忍くんが来るってことは、お母さんが呼んだんだろう。
つまりそれは、そういうことだ。
それでも忍くんは、いまの私を見たら怒るだろう。
それも優しさにちがいはないから……会いたくないと、思った。


