鹿島先輩に連れられて中に入ると、まだ練習は始まってなかったみたいで人数も少ない。
挨拶を済ませてきょろきょろ体育館を見回したけど、目的の人物はやっぱり見つからなかった。
「あの……鹿島先輩」
「あん?」
「砂月って人、今日はいないんすか」
「砂月さん? なんだ、あの人に用事あったのか」
「まあ……」
「だったら最初からそう言えよ。ちゃんとセッティングしておいたのに。
……あの子のことだろ?」
あの子。
綾センパイのことだとわかって、黙ってうなずいた。
俺は言ってないけど、たぶんこの人は俺がフラれたことを知ってるんだろう。
「たぶん来ると思うけど……あ、ほら」
鹿島先輩の言った通り、見覚えのある長身の、やたら顔の整った男が体育館に現れた。
友人数人と並んで歩いてきたそいつは、俺を見て笑顔を引っこめ、足を止めた。


