今日も部活後、いつもの帰り道をひとり歩く。
もう意味がないのに、俺はいまでも綾センパイと歩いていた道をなぞってしまうんだ。
少し遠回りになるのに、綾センパイの家の前を通る。
綾センパイを家まで送って別れる時、
見えなくなるまで俺を見送ってくれる綾センパイを、何度も振り返ってみるのが好きだった。
「……あれ?」
おかしい。
今朝見た時と何かがちがう。
あ、わかった。
門の所にある郵便受けの口に、青いテープが貼られてるんだ。
でも、どうして?
「……え?」
目を疑った。
夜の闇に目をこらす。
門の向こうに看板が立っていた。
これも今朝はなかったやつだ。
そこには赤字ででかでかと、『売家』と書かれていた。


