足元に置いたリュックに目がいった。
そこには綾センパイからもらったお守りが、いまもついている。
未練がましい。
わかってる。
でも春が来ても、俺の気持ちはなんら変わることはなく。
それどころか、日に日にセンパイが恋しくてたまらなくなる。
ひどいよセンパイ。
しょうがないだろ。
センパイはいなくなったのに、あちこちにセンパイの気配がするんだ。
朝寝坊しようとしても、身体が勝手に起きてしまうし。
飯なんて食いたくないと思っても、時間になれば腹が鳴る。
何もかもを投げ出したくなっても、手は自然とボールに伸びて。
むしゃくしゃして誰かに当たりたくなっても、気付けば和樹に弱音を吐いてる。
バスケ始めてまたモテるようになったから、不毛な片想いはやめて、寄ってくる女の子たちと楽しくやろうと思っても。
なんだか虚しくなるだけで。
もうだめだ、寂しい、つらい。
気持ちに負けそうになっても、足はなぜか一歩踏み出そうとする。
大丈夫だ、お前は行けるって、身体が心を引っぱろうとする。


