雪が降り始めた。 ふわりと軽い、触れば一瞬で溶けそうな雪が。 いやだ……。 好きだよ。 大好きだよ。 寂しいよ。 離れたくない。 離れないで。 傍にいて。 ずっとずっと。 傍にいさせて。 気を抜いた途端溢れ出しそうになるそんな心の声たちも。 光太の明日と天秤にかければ、空気のように軽く、透明になる。 大丈夫。 大丈夫。 光太にでも、自分にでもなく。 たいして意味のないおまじないみたいに繰り返した。