「思い出?」
「うん。……私さ、これまでを振り返ると、何もやってこなかったなって最近思うようになって」
特に高校に入ってから。
私は何をやってきたのか、自分でもよくわからないくらいだった。
部活はやっていないし、特別趣味に打ち込んだわけでもない。
必要だったから、必要な勉強をしていただけだった気がした。
「それでもそれなりに楽しく過ごしてたと思うんだけど。どれもあんまり思い出って形では残ってなくてさ。
それって寂しいよね」
「あんま考えたことなかった……」
それは光太がいま、とても充実した毎日を送っているからだよ。
振り返ってるヒマなんてなくて。
でもそういう一生懸命な日々は、気付いた時には思い出になってるんだと思う。
「思い出がないとさ、何をやってたんだっけ。もったいなかったなってなるけど。
キラキラした楽しい思い出があれば、楽しかった、充実してたって。笑顔で前を向いて行ける気がしない?」


