不安ばかりの詰まった懇願が、アスファルトに落ちる。


昼休みに忍くんに言われたこと、ずっと気にして……。



胸の奥から湧き出るこの熱のことを、愛おしいって言うのかな。

怯えたような表情の光太を、抱きしめたくてしょうがない。



「光太」



呼びかければ、光太の丸い瞳が私を見る。


微笑んで、そっと、光太の胸に頬を寄せた。

トクトクという光太の心臓の音と、優しい匂いに目を閉じる。



「光太のこといちばん好きなのは、私だから」


「……綾、センパイ」


「別れるなんて言わない。
私の彼氏でいてくれる?」



返事は、私を抱きしめてくる力強い腕にもらった。


震えてたのは、私か、光太か。

お互いだったかもしれない。