同情してるわけじゃない。
ただ、中学の時も私は、梨乃がどうしてあそこまでしたのか理解できなかった。
いまもやっぱり理解できてない。
でも、負けるのだけはいやだ。
「謝らなくていいよ」
私の声に、彼女の肩がぴくりと動く。
光太はなんで?って顔をしたけど。
私は別に、富田さんに謝ってほしくなんてないんだよ。
「その代わり、光太に近づかないで」
「綾センパイ……」
「光太のバスケの邪魔をしないで。光太に話しかけないで。
光太に……触れないで」
最後は声が震えた。
でも光太が優しく手を握ってくれたから。
私は最後まで、富田さんから逃げずに、真っ直ぐ見つめていられた。
彼女は結局、そのままひとことも発することなく去っていった。
野次馬の視線に晒されて、逃げるように廊下を駆けて行った。


