「だったら俺にしといたらどうだ?」
「え? 何が?」
「恋人」
言われた意味が、理解できなかった。
ええと……なに?
コイビト?
俺にしとけばって……え?
「俺なら綾を危ない目になんて絶対合わせない。全力で守る」
「し、忍くん……?」
「昨日みたいに、お前を泣かせたりしない」
忍くんは真っ直ぐ前を向いて運転してるけど、その綺麗な瞳は真剣だった。
一瞬どきりとしたけど……。
ときめきはやがて、親愛に溶けて消えていった。
だって、これは忍くんの優しさだから。
好きだの恋だの下心だの。
そんな不純物は一切混じっていない、まっさらな優しさ。
「……忍くんと付き合える人は、幸せだけど、きっと大変だね」
「……大変?」
「敵が多そうだもん。でしょ?」


