『何かあいつ……バスケに出るらしくて』



由本くんの言葉を思い出す。


いまは、我慢。

きっと体育祭で、光太は見せてくれる。


それまで私は我慢して、何も見てないふりをしよう。

せっかくの光太のやる気を、削ぐわけにはいかないから。



「待ってるよ」



呟きだけを影に落として、私は公園をあとにした。


涙と、口元がにやけるのを止められなくて俯きながら帰る。

ボールの弾む音は、懐かしくて幸せなリズムを刻んでいた。