忍くんに会わせて、光太の中で何かが変われば良いって思ってた。

単純な光太は見事に私の思惑通りになってくれたけど。


でも、それだけじゃないんだよね。


私がやったことは、忍くんという存在は、あくまできっかけになったに過ぎなくて。


光太はずっと、ずっとバスケがしたいって思ってたんだ。

だから小さなきっかけで、変わることができたんだ。


背後で、ボールの弾む音がした。


木の影から出て、振り返って、見たい。


光太がバスケをしてる姿を。

どんな顔でボールを触っているかを。


でも……。