「うそだぁ……っ」



ぶわりと。

視界が涙で満ちて歪んだ。


光太が。

あれだけバスケを避け続けてきた光太が。


バッシュを履いて、ボールを手にしてる。


その姿をずっと見ていたいのに、見ていられなくて、木の幹に背を預けて泣いた。


そうか。

そうだったんだ。


不自然に膨らませたリュック。

汗だくになって体育館から出てきた昼休み。

人目を避けるように、ひとりで急いでいた放課後。


光太は、バスケをしてた。

隠れて、私にも秘密にして、バスケを。


大好きだったバスケをしていた。