まだ心配だったけどここは病院なわけだし、何も心配することはないよね……?



思わず後ろ姿を見つめていると、結城君が急にこっちを振り返った。



パチッと重なる視線。


またドキッとする。



「言い忘れた。結城君じゃなくて“シロー君”」



「えっ!?」



「そう呼んで」



シ、シロー君……。



「う、うん」



そう言った時にはもう前を向いて歩き出していて。



「またな、莉乃」



そんな言葉を置き土産にして、シロー君の背中は角を曲がって見えなくなった。