メイクはちょっと自信がなかったから、透明のグロスを唇に乗せただけ。 それでも鏡の中の私は、普段の私とは違っていた。 「行ってきまーす」 玄関を出るとサンサンと降り注ぐ太陽の光が眩しくて目を細めた。 いい天気。 まさにデート日和。 ガレージの隅っこにある自転車を引っ張り出してまたがる。 いつもは全速力で漕いで病院まで行ってたけど、今日はちょっとペースダウンしながら向かう。 だって 風で髪が崩れちゃう。