数人の生徒が降車する中、私と男の人は最後に降りる。

 結局、痴漢をした人は誰なのかとか分からなかったけど、逆に分からなくて良かったのかも。だって、その人の顔を覚えてしまったらもうこのバスには乗れないし……その人の顔を見るだけで泣きそうになると思う。

 それならいっそ、こっちが対策たててもうされないようにすればいいんだ!
 うん、その方がずっと楽。

「よいしょ」

 でも何はともあれ。

 私が無事に学校に来れたのはあのイケメンさんのおかげだ。

「(もう一度謝っておこう)」

 そう思い辺りを見回すと、足が速いことが関係しているのかもうバス停から遠く離れてる。

 あぁちょっと待って!

 声をかけようと、急いでその場から駆け出した。