「王子ー! こっち向いてー!」
「え、ちょっと……王子、その子誰!?」
「王子ー!!!」

 そんな声を耳にして、もう何分だろう……。

 王宮さんのカバンを取って二人そろって下駄箱に着いた時は、今日一番の疲労を感じていた。

「王宮さん……いつも、こんななんですか?」

「そうだけど?」

 流石毎日の行事としてこなしている人は違う。見ると彼は全く疲れていなかった。

 そして平然と、高い位置にある靴を取り出している。すごい、私は絶対届かない。