「あの、恋人ごっこならもういいですから」

「……違う」

「え、なに? 聞こえないです!」

 廊下を引きずられる状態で歩けば、そりゃもうみんなの目を引く。さっきの教室の比にならない目が私たちを奇異と驚きの目で見ていた。

 そんな中発せられる、王宮さんの怒声。


「いいから、黙って俺に着いて来い!!」


 その言葉と威力についたじろいでしまう私。

 そして為す術もないので小さな声で「はい」と言い、瞬時に沸いた大観衆の中を駆け抜けるのだった。